壺齋散人の旅
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草津温泉に遊ぶ




草津へ最後に来たのは30台はじめの頃だったから、もうふた昔以上も前のことになる。筆者が幹事役を勤めた職場旅行で、温泉に一泊した後、翌日は白根山に上り、鬼押出を経て軽井沢へ下りたことを覚えている。しかし肝心の草津温泉についてはあまり印象がない。

それ以前には、山子夫妻と草津へ夫婦合同のスキーをしたことがあったが、これもやはり温泉そのものは記憶に残っていない。だから今回は初めて訪れるような気がした。

賽の河原付近にある草津ホテルに投じ、四人でぶらりと温泉街を歩く。日本各地の温泉街は、目下折からの不況風を受けてどこも閑古鳥が鳴いているというが、ここは結構賑わいがある。やはりブランドを大事にしてきたおかげだろう。街のたたずまいがなかなかよい。

有名な湯畑は温泉街の中心部にある。滾々と湧き出てくる温泉池に硫黄がへばりついているが、湯そのものは白骨のようには黄濁していない。草津温泉はここの湯のほか、周辺部にもいくつかの源泉があるという。草津ホテルの湯は、賽の河原から湧き出たものを使っているそうだ。

湯畑の周りには、湯治客が思い思いに散策している。そのうち結婚式を挙げたばかりのカップルがやってきて、まわりのものに祝福されながら記念撮影をした。温泉で結婚式を挙げるのも、気が利いているかもしれない。夫婦の間に垢がたまるようなことがあったら、ここにやってきて、温泉で洗い流すがいいだろう。

色とりどりの土産物屋が目を引く。ガラス細工を売るものがある。筆者は家内のために小さなウサギの飾り物を買った。また24本の骨組みからなる傘を売るものが二軒あった。一軒は二千数百円で売り、もう一軒は千円で売っていた。値が相違する訳を聞くに、高いものは雨に濡れると水滴が光って見えるのだという。



旅館に戻り、湯につかる。なかなかいい湯だ。そこで湯の効用のメカニズムが話題になる。筆者は浸透圧の作用によって、湯の成分が体内に浸透するのだろうといったが、諸子は納得しない。ともあれ、ここの湯は硫黄泉にかかわらず、あまり硫黄の匂いがしない。

食事は部屋食だ。飲み食いかつ談笑するうち、気の早い松子が次回の予定を話題にする。旅先のルートや投宿先まで考えてきている。そこで11月に行こうということになったが、日程の調整がなかなか難しい。筆者と落子は自分の裁量でどうにでも融通できるが、山と松の二子は仕事の都合のほかに細君の都合も考慮に入れなければならぬらしい。

というのも、二人とも細君と一緒に過ごす時間が何事にも優先されるらしいからだ。二人が電話で細君とやりとりする様子を見ていると、友達と過ごす時間は、夫婦の時間を邪魔しない範囲で作らねばならぬ、そんな空気が伝わってくる。

11月にある三連休などは、旅行するにはもってこいの日程だ。それ故まず夫婦のために使わねばならない。そんな具合で、普通の月曜日に都合をつけて、日曜から月曜にかけていこうということになった。それでも山子などは、ひとりではなかなか出してもらえぬらしく、女房も一緒に連れて来るということになった。

いやはや、とんだ夫婦愛を見せ付けられたものだ。







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