壺齋散人の旅
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鵜戸神宮に参る:南九州の旅その六




食後、バスは東へ向かって走り、午後2時半頃都城の霧島酒造という醸造所に到着した。イモ焼酎を作っている工場である。ここで焼酎の試飲をし、湧水をペットボトルに汲み取ったりした。この湧水は焼酎の醸造に使われているのと同じ水で、軟水ながらうまいのだそうだ。たしかにそんな感じがする。

ついで鵜戸神宮という神社を訪ねた。海に面した洞窟の中にある珍しい形式の神社だ。ここは、ウガヤフキアエズノミコトと縁の深い神社である。鵜戸という名称にもそれが込められている。トヨタマヒメがウガヤフキアエズノミコトを生んだ後竜宮に帰ってしまったので、お乳を与える者がいなくなってしまった。すると、ここの洞窟の中のある岩から乳が滴り落ちてきて、ミコトはその乳で無事育つことが出来た。いまでもその岩はこの洞窟の中にあって、ミルクではないが、甘い水を出し続けている。そこで、その岩というものを眺めてみると、たしかに一条の水が滴り落ちているのが見える。

その岩はお乳岩と呼ばれ、その水で作ったお菓子はお乳飴と呼ばれているのだそうだ。

洞窟の外は切り立った崖になっていて、崖の下には亀の甲羅のような形をした岩が見える。甲羅の周りには注連縄が張られ、甲羅の中心には窪みができている。その窪みに硬貨を投げ入れるといいことがあるというので、人々が競って硬貨を投げ入れたところ、土地の子どもがその硬貨を取ろうとして岩によじ登り、上りそこなった子どもが海に転落するということが絶えなかった。そこで神社の禰宜が一計を案じ、硬貨の代わりに泥の団子を投げるようにした。その団子は100円で売っている。それを男は左手で、女は右手で投げるのだそうだ。横子がこの団子を買って、左手で投げたところ、見事に命中して窪みの中に入った。彼にはきっといいことが起こるに違いない。

この鵜戸神宮や明日行く青島神社は日南観光の拠点で、いまでも多くの客を集めているが、かつては日本一の新婚旅行のメッカだったのだそうだ。最盛期には、日本中の新婚カップルのうち三分の一が日南海岸に来たのですよ、とガイドがいう。そういえば僕だってそうでしたよ、と今子がいう。彼も35年前に、ここへ新婚旅行に来たことがあるのだそうだ。

宮崎市の北の郊外にシーガイアというリゾート地があるが、その一角に立っているサンホテルフェニックスというところに投宿した。ここは温泉ではないのだが、ホテルの浴場はゆったりとして、一日の疲れを癒すに不足はなかった。

夕食はバイキング方式だった。けっこう品が豊富で、まぐろとカンパチの刺身も用意してある。やはり旅先の食事には魚が似合う。うまい魚があれば酒も進む。そんなわけで、我々はビールと日本酒をたっぷり飲んだ次第だ。昨夜まではあまり飲まなかった横子までが、今夜は良く飲んだ。







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