壺齋散人の旅
HOMEブログ本館日本文化美術批評東京を描く水彩画動物写真プロフィール掲示板



青島散策:南九州の旅その七




四日目(6月17日)は、8時前にホテルを出発し、まず堀切峠というところを訪ねた。海岸に突き出たような高台で、日南海岸が一望出来る。この海岸には、鬼の洗濯板とよばれる奇妙な形状の岩が点在している。海中の岩が波の浸食を受けて、あたかも洗濯板のような形状を呈しているのだ。

日南海岸は、陸地が海にせり出すような形になっていて、いくつもの峠がある点で紀伊半島東岸と似ているようだが、あれほど険しくはないようだ。それ故観光客も気軽に訪ねることができるというわけだろう。

その後、青島を訪ねた。島と言っても、本土とは短い橋でつながっている。その橋を渡ってしばらく歩くと、青島神社にたどり着く。この神社も海幸山幸伝説とかかわりがあるらしく、祭神はヒコホホデミとトヨタマヒメである。夫婦神を祭るところから、夫婦円満の神社と云うことになっているようだ。

青島は全島が熱帯植物の群生地になっている。一周するとそれらの分布が良く見えるということだが、時間がなくて一周することはかなわなかった。そのかわり、至る所に展開する鬼の洗濯板が良く見えた。洗濯板の合間には水溜りができていて、そこに小さな魚が群をなして泳いでいる。

バスは午近くに鹿児島空港に舞い戻ってきた。空港内の食堂で昼食をとりながら旅行を回顧した。

最初は横子が成田に行っちゃったりして、幸先の悪さを感じなくもなかったけれど、日を追うごとに充実してきて、全体としては満足できるレベルだったな、というのが結論のようなものだった。飯だってまずくはなかったし、不愉快な思いをしたこともなかった。特別すばらしかったというわけでもないが、つまらなかったということでもない。それなりに楽しかったよ、と筆者はいって、生ビールをグビッと飲んだ次第だ。

すると今子も相槌をうち、生ビールを飲みながらガイドの評判話を始めた。あの子は固太りで、決して美人とはいえず、しかも最初の印象もよくなかったけれど、だんだんと良くなってきましたよね。愛嬌が出て来たし、説明も上手だった。とくにあの安井息軒の話なんか、上手だったじゃないですか。あれは大分勉強している証拠ですよ。普通のガイドじゃ、あそこまでうまく話せませんもの。

こんなふうに今子がいうものだから、筆者は安井息軒とその妻を描いた鴎外の小説「安井夫人」について補足説明をしてやり、そのことに関しては一文を草してネットに載せてあるので、旅行から帰ったら是非読んでみたまえ、と勧めた。二人とも是非読んで見ますといってくれた。

往路は結構混んでいた飛行機が、復路はガラガラの状態だった。







HOME壺齋散人の旅次へ










作者:壺齋散人 管理者:えかきあひる  All Rights Reserved (C) 2005