三日目の朝、あひるたちを乗せたバスは、鳥取砂丘にやってきました。
鳥取は、因幡の国の海岸です。因幡といえば、そう、
白ウサギのお話が思い浮かびますね。白ウサギは、
ワニたちをだましたおしおきに、ここいらの浜で皮をはがれ、
ひどい目にあっているところを、オオクニヌシノミコトに助けられたのでした。

また、ワダツミの姫君たるトヨタマヒメが、ヤヒロのワニの姿となって、
ウガヤフキアエズノミコトをお生みになったのも、
この辺の浜ではなかったでしょうか。ミコトは、
この国の皇室の先祖であらっしゃる、カムヤマトイワレヒコの父君ですね。

白ウサギのお話といい、トヨタマヒメといい、この国に、
もともとワニは住んでいなかったはずなのに、遠い昔の神話に出てくるのは、
どうしてでしょう。それは、この国の人々の遠い祖先に、
南洋の人々も含まれていて、その人たちが、
故郷の神話を運んできたからですよと、ガイドさんが教えてくれました。

あの、スサノオノミコトに殺されなさった、オオゲツヒメの神話も
南洋起源だそうです。オオゲツヒメといっても、
お尻の大きな姫君という意味ではありません。
大いなるケ(アサゲとか、ユウゲとかいう、あのケです)、
つまり食べ物の神様のことです。死んだ女神の体の各部分から、
いろいろな食べ物が生じたという神話は、南洋に広く
分布しているのだそうです。ちなみに、オオゲツヒメの目からは稲が、
お尻からは豆が、陰所からは麦が、生まれたことになっています。

砂丘は、さまざまな砂紋を描いて、果てしなく広がっています。
先端まで歩いていくと、日本海のとび色の海がよく見えます。

おやおや、ウサギが一匹逃げてきました。そのあとをワニが追いかけてきます。ふたりはまだ、追いかけっこをしているのですね。






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