壺齋散人の旅
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淡路島を走る




令和元年五月三十一日(金)陰。早朝、東京駅構内にて待ち合わせ、八時十三分発博多行きの新幹線のぞみ号に乗って、十一時一分に新神戸に到着した。車中東京駅構内の売店にて買い求めたサンドイッチを、ビールを飲みながら食う。小生の朝飯である。ほかの三人はすでに家で済ませて来たそうだ。小生は途中便意を催すことを恐れて、朝食の時間を先延ばしにしたのであった。

新神戸に着くとJRの駅レンタカー窓口に赴き、中型乗用車を借りる。ホンダのハイブリッド車だ。店員が言うのに、目下高速道路工事中のあおりを受けて、通常通りの道筋をたどることを得ず。いったん山中を北上して、途中三田というところでUターンし、淡路島方面の行程をたどるべしという。説明に合わせて、カーナビもそれ用に設定してもらった。その指示通りに車を運んだところ、山中北上とはいうものの、いつまでたっても南下する気配なし、これでは六甲山地を横切って日本海側に出てしまうやも知れぬと心配になる始末。山子が駅レンタカーに電話連絡して、道筋を改めて確認すると、それでよいという。そうこうするうちに、Uターンの地点にたどり着き、徳島方面をめざす仕儀とあいなった。その後、道路は鳴門海峡を渡る橋にさしかかったが、普通なら新神戸駅前を出発して、二十分程度で橋を渡りにかかるはずのところ、この日は一時間以上を要した。一体どういうことなのかと、山子夫妻はさかんにいぶかったものである。おかげで余計な高速料金を払わされてしまった。



橋を渡って島に入ると、前面に観覧車が見えて来た。動いているのか止まっているのかわからぬほど、ゆったりと回転している。その傍のサービスエリアでトイレ休憩をとり、再び車を走らせて北淡インターチェンジで下り、海岸沿いの通りを南下して、郡家というところにあるレストランに立ち寄る。このレストランは山子がネットで見つけたそうだが、今年の春にオープンしたばかりなのだという。ガーブ・コスタ・オレンジという名のイタリアレストランで、外見は倉庫を思わせるが、内部は真新しい杉材で作られており、しかも瀬戸の海に面してすこぶる眺めがよい。そこで我々は、思い思いの料理を註文し、ヴィノ・ビアンコを飲みながらパスタの味を楽しんだ次第。

料理のなかに収穫したばかりの玉ねぎが使われており。これがすこぶるうまいので、店員に新玉ねぎを売っている店を教えてもらって、買いにでかけた。その店は赤い屋根の上といって、タコせんべいの売店と軒を接していた。まずタコせんべいの売店に立ち寄ってみたところ、店内は客で充満している。よほど有名な店なのだろう。夥しい種類のタコせんべいを売っており、しかもそれぞれ試食させてくれるので、それだけで腹がいっぱいになるほどである。

腹が二重にいっぱいになったところで、赤い屋根の家に移り、そこで新玉ねぎを買い求めた。小生は巨大な玉ねぎを数個のほか、ニンニク二個と玉ねぎスープのセットを買った次第だ。ほかにも枇杷とかトマトとか旬のものが売られていた。

赤い屋根の家を辞した後、志筑というところで鳴門側へ出て、そこから海沿いの道を南下してモンキーセンターに向かった。海沿いの道とはいっても平坦な海岸道路ではない。海岸線迄突き出た山の端を縫うように進んでいくので、時折海を見ることがなければ、山深いところを進んでいると思うだろう。

モンキーセンターには、四時ごろに着いた。入り口にある売店で入場券を買うと、猿が一匹出迎えに出て来た。その猿に案内されるようにして猿山のほうに上る。猿山に猿がいる間は、入場券を売るのだそうだ。夜になると、もっと深い山の中に移るらしい。猿山に至る途上、何組かの猿に出会う。子猿を連れている者が多い。みな人間を見ても警戒する様子がない。そのうち、猿観察センターなる建物の広場に出る。大勢の猿の外、鹿も結構多くいる。皆雌鹿だ。このあと我々は、大勢の猿及び雌鹿たちとしばしの触れ合いを体験したのだったが、その体験については動画も取ってあるので、別稿で改めて紹介したいと思う。

ここでは、猿山を辞退して、南淡路温泉に投宿した経過について語りたい。我々は、五時過ぎに猿山を辞退した後、山中のジグザグした道を進み、まだ明るいうちに淡路海上ホテルという所に投宿した。海上の名に恥じず、海にせり出すようにして立っており、我々が案内された六階の部屋からは、湾の光景が一望できる。眼下の海岸線には桟橋が海に突き出ていて、その先で中年男が釣りを楽しんでいる。釣り道具一式貸し出しで、客に釣りを楽しませるのだそうだ。結構よく釣れるらしい。釣れた魚はその晩の食事の材料になるそうだ。

温泉は単純ナトリウム泉だが、湯の量が豊富でゆったりとくつろげる。夕食の料理もなかなかだったので、言う事はない。食事を楽しんだ後は、我々の部屋に四人集まって、小生が持参したアーリータイムズを舐めながら、四方山話に耽った次第だ。松子の話題が出たのはいうまでもない。そのうち、一周忌にでも、墓参りをしたいものだ。






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