あひるの旅日記
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南紀勝浦温泉ホテル浦島に泊る:紀伊半島の旅その四




紀伊半島の旅二日目は南紀勝浦温泉のホテル浦島に泊った。この温泉は、昔から新婚旅行のメッカとして知られていて、我々の仲間のミーさんあひるも、新婚旅行はここにきたそうだ。筆者は二十数年前に、子どもたちを連れて南紀旅行をした際に、東京からサンフラワー号に乗ってここに上陸したものだったが、その折には通り過ぎるだけだった。

勝浦は温泉街というよりは漁港として有名だ。日本有数のまぐろ基地として知られている。隣の太地町はクジラ漁の拠点として有名だ。

港を囲むようにして、海沿いにいくつかのホテルが建っている。ホテル浦島は港の対岸にある半島の先端に位置しているが、半島の付け根部分は険しい崖になっていて、自動車ではいけない。港からわざわざ船に乗って行くのだ。それ故、あたかも離れ小島にあるような感じを起こさせる。

我々も、バスを下りるや早速船に乗り込んだ。わずか数分でホテル正面の桟橋に到着する。桟橋そのものがホテルの玄関口になっているので、船を降りるとすぐホテル内部へと導かれる。

チェックインを済ますと、早速割り当ての部屋へ向かうが、これがまた遠い。エレベーターで三階に上がり、長い廊下を歩かねばならない。その長さがいい加減ではないので、ホテル内部を歩いているというより、どこかのトンネルでも歩いているかのような気分にさせられる。それに、壁には生板のようなものが貼られていて、火事が起きたら勢いよく燃えるんだろうな、と心配にさせられたりもする。

部屋に入ると、また驚かされた。畳敷きの日本間に粗末な木製のベッドが二台据えられ、その上に和布団が敷かれている。なんじゃこりゃ、といった感じだ。

ベランダに出ようとしたら、床が汚れている。ろくろく掃除をしていないようだ。手入れが悪い。だが部屋そのものは海に面しているので、眺めは悪くない。

手入れが行き届かないのは、規模がでかすぎるせいもあるのだろう。収容能力2500人の巨大ホテルだという。今どきこんな巨大なホテルはそうざらにあるものではない。高度成長期には、いくらでもやってくる客を当て込んでどんどん拡大したものが、不景気の今になっては金周りが悪くなり、自然手入れも行き届かなくなったということのようだ。

風呂場もまた、部屋からものすごく離れた、遠いところにあった。というのも、それぞれ半島の反対側に位置しているからだ。だが雰囲気はよかった。崖に穿たれた自然の洞窟を利用して浴場としているので、あたかも洞窟の奥から外界を覗きながら温泉につかっているような、いい気分になれる。泉質も良い。硫黄を主に、さまざまな成分が溶け込んでいる。身体がくつろぐのを感じる。

夕食は大ホールでバイキング。夕食のバイキングと言うのは初めてだ。だが文句はいうまい。マグロの刺身や寿司を皿に盛って、銘々好きなものを食いながら宴会騒ぎをしよう、というわけで、それなりに盛り上がった。

食後は昨夜同様筆者らの部屋に集まって二次会をやった。ウィスキーの水割りを飲みながら今日一日を振り返る。那智大社へ上る階段が大変だったわ、と静ちゃんあひるがいう。もうここでやめようかと何度も思ったけれど、がんばって最後まで上り続けたら、かえって気分が良くなったわ。

毎日散歩をしているので足腰は十分だったけれど、息がなかなか続かなかったね、と筆者はいった。こんな調子では、富士登山なんかとんでもないな。もちょっと有酸素運動に心がけないないとまずいかな。

我々に比べて、いまちゃんあひるは元気だったね。あいかわらずフットワークがいい。とても老人には見えない。よこちゃんあひるもまあまあだったね。

少尉あひるは、我々の中で最高齢だけど、なかなか元気だね。全く呼吸が乱れないし、足元もふらついたりしない。この調子なら富士登山だってできそうだよ。

こんな調子で話は弾んだが、それでも10時を過ぎるころには解散して眠ることにした。明日もまた、歩かなければならないから。







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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2014
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