あひるの旅日記
HOMEブログ本館日本文化美術批評東京を描く水彩画動物写真プロフィール掲示板



丹波篠山・嵐山:若狭・三丹の旅その五




竹田城跡に続いて丹波篠山を訪ねた。篠山と書いて「ささやま」と読む。ここは徳川時代には譜代大名が城を構え、周囲の外様大名に対して睨みを利かしていたところだという。石垣や堀が残っているほか、明治維新の際に破壊された城が近年復元された。この城の周りに広がった街並は城下町特有のおっとりした雰囲気に包まれていた。

丁度昼時にあたっていたので、みなで昼飯を食いに行った。しずちゃんあひるがあらかじめネットで調べたといううどん屋に入り、その店の名物というシシ肉のうどんを注文した。他のあひるはみそ味のうどんを食い、小生はカレー味のうどんを食ったが、だれもかれもみなうまいと言って満足していた。小生も無論満足した。

うどんを食い終わると、バスの出発まで多少時間があるというので、春日神社というところを訪ねた。ここにある能楽堂が見たいのよ、としずちゃんあひるが言ったからだった。その能楽堂は、本殿の前に南向きに立っていたが、風雪を忍ぶためだろうか、雨戸で閉ざされていた。だが、雨戸の一部に小さな窓口が設けてあって、それを通じて内部が見られる仕掛になっていた。この仕掛は床下の部分にも設けられていて、そこから中を覗くと、二つの大きな樽が置かれているのが見える。この樽が、舞台の音響をよくするための工夫なのである。しずちゃんあひるは腰をおろし、その窓口から内部を覗きこんで感心した様子なのであった。



バスはこの後、みなを土産屋に連れて行った。丹波笹山は丹波栗と丹波黒豆が名物だというので、小生も焼栗と黒豆の甘納豆を家内への土産に買った次第だった。

夕近く嵐山に着いた。小生がここに来るのは今年に入って三度目だ。一度目は三月初旬の早春の頃、二度目は八月の夏の盛り、そして今は秋も深まる頃あいが、京都は紅葉が遅いので、紅葉を見るには丁度良い時節にあたる。もっとも黄昏が次第に深まりゆき、速やかに暗くなってしまったので、のんびりと紅葉を眺めているゆとりはなかったが。

天竜寺の門前から野宮神社をまわり、土産物屋を覗き歩いた。すさまじいほどの人出で、道は歩行者専用になっていたにもかかわらず、それでも歩くに難儀を感じるほどの混みようだ。

六時半頃京都駅に着いた。八条口の駅ビルで、家内にねだられた阿闍梨餅を買おうとしたが、取り扱っている店は二軒とも売り切れですという。余程人気があると見える。仕方がないので、かわりに塩八橋を買った。

これで今回の旅行はおしまいとなった。帰りのひかり号の中で、京都駅で買った弁当を食いながら飲んだ酒で、あひる一同いい気持になった次第だ。また、車内で旅行会社のアンケートを書かされたが、みなこの旅行には満足したらしく、添乗員やバスガイドを褒める評価をしたのだった。あんちゃんひるなどは、用紙一枚では褒め足りないので、もう一枚欲しいなどと言っていたほどだ。







HOMEあひるの旅|次へ










作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2014
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである