壺齋散人の旅
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韓国式エステ:ソウル滞在記その四


夕食後韓国式エステなるものを体験す。ビルの地階に入浴施設あり、そこにて全身の垢すりとマッサージを楽しむといふものなり。

まづ裸になりて浴室に入り、全身をふやかすやうにと札番より指示せらる。指示どほり、幾種類かの浴槽につかり、乾湿蒸三種類のサウナに身をさらし、全身の皮をくまなくふやかす。

そのうち三助の如き男たちあらはれ、客をベッドの上に横たはらしむ。余は丸裸のままベッドの上に仰向けに横たはりぬ。

三助まづ余の右腕を持ち上げ、余の右脇下より右片腹にかけて、たわしもてこすり始めたり。余片腹の皮がむしりとられんかと危惧す。ついで左側の皮をこすり、胸から腹にかけての皮をこすりぬ。臍のあたりをこすられたるときは、腹に力が入る余り、思はず屁を放てり。また股のあたりをこすられたるときは、陰嚢の皮がむけて玉が飛び出すにやと心配になりたり。

ついでうつむきにせられて背中の皮をこすらる。また足の裏の皮を剃刀のやうなるものにてこすりとらる。かくして全身の皮をこすられ、余は皮をはがされたる鶏の如き心地になりぬ。

皮をこすり終ふるや、全身のマッサージなり。肉のある部分は掌でたたき、骨のある部分は拳でつつく。頗る苦痛なり。余その苦痛に耐へかねて呻き声をもらす。客が呻けば三助の手先にはますます力が入るなり。余殆ど卒倒せんとす。

ついで頭の皮をこすらる。余日頃より頭皮の敏感なるに苦しめり。よって今回も多少心配になりたれど、三助余の心配を余所に、余の頭に湯をざんぶりと浴びせかけるや、余の頭皮をはがれんほどにこすりたり。余頭皮の垢のことごとくはがさるるを感ず。さいはひなることに毛髪の殆どは無事なりき。

ついで頭を両手で抱へられ、前後左右上下斜交に運動せしめらる。また両腕を後ろ手に絞りあげらる。余両腕のもぎり取られんことを憂ふ。

かくて一時間あまりしてやみぬ。余は湯船につかって冷汗を流し、便所に入りて脱糞す。腹を力づくで押され腸が緩みたるなり。

同行の者の終ふるを待つ間、札番の者と雑談す。札番の者関西弁を話す日本人に向かっていはく、関西には韓国人によく似た顔つきの者多し、あなたも韓国人のやうな雰囲気あり、されどよくよく見ればやはり日本人なり、韓国人は眉毛のおとなしげなる者多し、日本人は眉毛が賑やかなり、あなたの眉毛も賑やかなれば、やはり日本人とすぐにわかるなりと。

札番の者筆者に向かっていはく、あなたの眉毛も立派ですね。余答へていはく、すでに雪の如く白しと。札番またいはく、白くても毛の量が多いですよ。

かかる次第に雑談して時間をつぶし、深夜十一時頃マイクロバスにてホテルまで送らる。余運転手にチップとして三千元を与ふ。

その後ウィスキーの水割りを飲みつつ二子と歓談、深夜一時過ぎ床にもぐり入りたり。







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