あひるの絵本
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宗鏡寺:あひるたちの日本旅行山陰篇



出石の街はずれに、宗鏡寺というお寺があります。
里山の懐に抱かれるようにしてたたずんでいます。
沢庵和尚ゆかりの寺と聞いて、あひるたちは見に行くことにしました。

みなさんも、沢庵和尚の名前は、聞いたことがありますね。
沢庵漬を考案したことで名高いお坊さんです。この町で生まれ、
長じては、このお寺の中に投淵軒という庵を作って暮らしました。
屈原が泊羅の淵に身を投げた故事から名づけたとされるように、
世を憂える気持が人一倍強かったとされます。剣豪の宮本武蔵も、
但馬で生まれた同郷のよしみから、沢庵和尚の教えを請うたそうです。

石の階段を上って境内に入ると、古寂びた庭園が広がっています。
和尚さん自ら作ったとされる庭園です。その一角に鐘つき堂があって、
自由についてもいいですよと、書かれていました。
あひるたちは、鐘をついてみることにしました。

まず、シズちゃんあひるがつきました。すると、鐘は、ボヨーンと鳴りました。
つぎに、オオさんあひるがつきました。鐘は、ボヨヨーンと、鳴りました。
最後に、ハヤさんあひるが、大きな体で力いっぱいつくと、
鐘は、ボヨヨヨオーンと、高らかな音で、鳴り響きました。

この鐘の音は、人々の煩悩をやわらげてくれるのだそうです。
あひるたちは、街の辻々を覗きながら、
バスのとまっているところまで戻りました。
この町はまた、但馬の小京都ともいわれているそうです。
規模は小さいながら、道は条里になっていて、
山に囲まれた盆地状の空間に、川が流れています。西日本のひとたちは、
このようなつくりの町が、本当に気に入っているのですね。

えかきあひるは、出石名物のおそばを、お土産に買って、
バスに乗り込んだのでした。







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